
法人の場合、決算申告をする必要がありますが、
「決算無申告」
の場合、どうなるのかを知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
法人で、稀に、「法人決算の無申告」のケースがあります。そのような場合は、ペナルティーが課せられることになってしまいます。その内容について解説しています。

法人の決算申告は、
決算日より2カ月以内
に行政の関係窓口に書類を提出する必要があります。
提出が必要な書類と提出先は、下記になります。
法人税;税務署
消費税;税務署
法人事業税;各都道府県税事務所
都道府県民税;各都道府県税事務所
市町村民税;各市町村
では、決算申告をしなかった場合、いわゆる「無申告」の際には、どうなってしまうのでしょうか。
結論からいうと、税務調査の上、
・追徴課税(無申告加算税、延滞税)
が発生し、場合によっては、
・重加算税
が課せられる可能性があります。
その他、
・銀行融資が困難になる
・青色申告の取り消し
といったことになります。
※脱税行為に該当するような悪質な場合は、刑事罰の可能性もあります。
ですので、かなりのデメリット要因がありますので、面倒でも、納期までに、
決算申告
を行うべきと言えます。
国としては、税金の徴収に容赦ないという面がありますので。。
下記に、各内容と、無申告の場合の対応について説明していきます。
決算無申告の場合の「行政の措置」

税務調査と追徴課税
前提として、
法人の管理は、法人登記の時点で管理されていますので、逃れることはできない
ということになります。
ですので、決算の無申告の際も、税務署は、その状況を把握しています。
また、初年度に税務調査がなかったとしても、5年以内に調査が入る可能性があると認識しておいたほうが良いでしょう。
税務署としても、法人設立の初年度より、期間をおいて、売り上げがあがっている後に調査したほうが、税収額も増えますので、効率が良いという判断もあります。
いずれにしても、
無申告の場合
には、本来の税額に加えて、「追徴課税」が発生します。
追徴課税の種類
無申告加算税
決算申告の無申告の場合、「無申告加算税」が課せられます。
内容的には、
税額に対し、
「50万円までは15%」
「50万円を超える部分は20%」
が加算されることになります。
また、確定申告の期限後に、自主的に申告をした場合は、
「5%」
になる場合があります。
延滞税
申告が遅れた場合に、
法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じ、延滞税
課せられます。
延滞税の金額は、滞納額と期間によって変わり、細かい計算式があります。
詳細は、下記ページに記載されています。
参考:国税庁「延滞税の計算方法」
重加算税
決算無申告で、その内容が悪質であると判断された場合は、
「重加算税」
として、
「追加本税の35~40%」
が課されます。
参考:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
青色申告の取り消し
会社を設立後に税務署に提出する書類の中に、通常は、
法人の青色申告の書類
も提出します。
青色申告により、
最大で65万円の特別控除
や
赤字の3年間繰り越し
といったメリットがあります。
但し、決算の無申告の場合は、この青色申告が取り消されてしまうということになります。
銀行融資が困難になる
決算の無申告が判明すると、銀行からの融資が困難になります。
銀行からすると、
決算申告をしっかりおこなっていない会社
ことになりますので、
信用できない
という判断になります。
そもそも、融資の際にも、決算書の提出が必要になりますので、無申告の場合、
決算書の内容も信用できるのか?
といった疑念も生じてしまいます。
いずれにしても、銀行の信頼を得られなくなるほか、社会的な信用力も低下してしまうことになります。
無申告の場合の対応

申告期限の延長
特別の事情がある場合は、申請をすることで、申告期限の延長が認められる場合があります。
ただ、特別な事情の内容については、下記ページよると、
定款等又は特別の事情
などのケースが記載されています。
ですので、条件に合わない場合は、申告が受理されない可能性もあります。
また、災害などの際は、申告期限や納税期限が延長される場合があります。
参考:国税庁 申告期限の延長の特例の申請
決算無申告の場合の現実的な対応

決算の無申告のままで放置することは、何のメリットもありませんので、避けたほうが賢明です。
早めに決算書、申告書類を揃えて、提出が必要な行政窓口に相談、提出をしましょう。
また、費用はかかりますが、そういった処理に慣れている、信頼できそうな税理士さんに相談するのが現実的と言えます。
税理さんに相談する際、通常は、初回の相談は無料の場合が多いですので、事前に、費用面も確認されて相談されると良いでしょう。
下記にような、税理さんの無料紹介サービスを利用する方法もあります。
【参考】税理士さんの無料紹介サービス

参考;時効に関して

法的には、無申告の場合の時効は、
法人税申告期限から「5年」
となっています。
しかしながら、それまでに、税務調査がはいる可能性があり、また、その結果、上記に記載したような措置がとられます。
ですので、時効を待つということは、リスクがあると言えます。
また、虚偽申告があった場合は、
消滅時効は「7年」
となります。
以上、「決算無申告」の場合の説明でした。
