
マネーフォワードや弥生、freee などのクラウド会計系の
会社設立書類作成サービス
のどれを選べばいいのかな?
こんなテーマに関する記事です。
クラウド会計系の「会社設立書類作成サービス」のうち、どれを選べばいいのか、そのポイントについてわかりやすく解説しています。

新たに会社を作成する際は、法務局などの提出する、
申請書類
の作成が必要になります。
法務局へ提出する書類の他、県事務所や、市町村への書類も作成します。
お役所に提出する書類は、結構、わかりにくかったりします。
ただ、最近は、
クラウド会計系の「会社設立サービス」
で、
会社設立書類を無料で作成
することができます。
主なサービスとしては、下記があります。
どのサービスとも、会社設立書類を無料で作成できます。
しかしながら、サービスを選ぶ際には、いくつかの注意点があります。
主に注意するポイントとしては、
・電子定款の対応
・書類のオンライン申請
・公告について
です。
また、その他に、
マネーフォワードには、法人印を購入できるサービス
がありますので、その内容についても説明します。
■電子定款費用に関して
また、電子定款費用については、
・弥生の「かんたん会社設立」;無料
ですが、
・freee、マネーフォワードの会社設立クラウド;、5,000円が必要となります。
となっています。
但し、freee、マネーフォワードの会社設立クラウドの場合でも、
同系列の会計クラウドの申し込み
をすることで、電子定款費用が無料となります。
■書類のオンライン申請に関して
弥生のかんたん会社設立とfreee会社設立は、
作成した書類を法務局等にオンラインで申請
することができます。
ただ、オンライン申請については、便利なようで、
マイナンバーカードの読み取りに対応したICカードリーダー
が必要だったりと、準備に手間とコストがかかってきます。
ですので、結局、書類を出力して行政機関の窓口で申請するほうが、段取り的には早いといえます。
■公告に関して
クラウドの会社設立サービスで、申請書類の作成をする際に、
「公告」の方法
を設定する箇所があります。
マネーフォワードやfreeeの会社設立クラウドの場合は、公告の仕方について、
・電子公告(年間費用として、4,000円前後~)
・自社のホームページ
を選択することができます。
また、
弥生の「かんたん会社設立」
の場合、
公告は官報のみになります。
ことになります。
ただ、定款に、「官報での公告」を記載していたとしても、実際に公告を行っている会社は少ないのが実情です。
■法人印の購入
マネーフォワードの会社設立サービスには、法人印のセットをお得な価格で購入できるサービスがあります。
それらの内容について、下記に順に説明していきます。
注意点1.電子定款に関して

会社設立の申請をする際には、
定款の認証
が必要となります。
定款には、紙による定款と、電子定款があります。
電子定款を使うと、紙での定款に比べ、コストを抑えることができます。
弥生の「かんたん会社設立」の場合
弥生の「かんたん会社設立」は、
電子定款の費用が無料
になっています。
コスト的には、弥生の「かんたん会社設立」が一番お得と言えます。
マネーフォワード、freeeの「会社設立書類作成サービス」の場合
freee、マネーフォワードの「会社設立書類作成サービス」は、
電子定款の費用
が5,000円となっています。
但し、
それぞれのクラウド会計の契約
をすることで、この電子定款費用が無料になります。
ですので、会社設立後に、マネーフォワード、freeeのクラウド会計の利用を決めている場合は、それらの会社設立サービスの利用時に、
系列の会計クラウドの申し込みをおこなう
という選択肢もあります。
■マネーフォワード会社設立の場合▼

※1 電子定款は、定款を電子文書で作成し認証を行う方法です。行政書士が定款を作成し電子署名を行います。(行政書士と契約いただき行政書士への定款作成費用 通常税込5,000円が発生します)電子定款で設立を行うと、紙定款で必要な印紙代40,000円が不要になります。
※2 マネーフォワード クラウド スモールビジネスプラン、ビジネスプランにご登録いただくと、行政書士(行政書士法人を含みます。以下同じ)に対する電子定款作成費用(通常5,000円(税込))を、株式会社マネーフォワード(以下「当社」)が負担いたします。
年額プランと月額プラン、どちらのご登録も対象です。なお、電子定款作成費用が、5,000円(税込)を超える場合には、当社で負担できない場合がございます。

どの会計クラウドを利用するかについて、まだ検討中の状況の場合は、会社設立手続き自体は、「弥生のかんたん会社設立」で進めても良いでしょう。
(参考)定款について
定款とは、
会社設立時に定める、「企業に関する内容を記載した文書」
のことです。
内容としては、会社の名前(商号)や事業内容、住所といった会社の基本情報に加えて、さまざまな規則を記載します。
この定款は、以前は書面による定款しか認められていませんでしたが、2004年3月1日から電子定款による電子認証が可能となりました。
電子定款の場合、PDFのデータ形式で申請することになります。
但し、個人で電子定款を発行する場合は、
・電子証明書(市区町村の交付窓口で取得。マイナンバーカードなども必要。)
・電子署名が可能なPDF作成ソフト(Adobe Acrobat Standard/Professional)
・電子署名プラグイン
・電子公証クライアント
といったソフトの環境が必要となり、1回の電子定款を作成する為に、こういった環境を揃えるには、逆にコストと手間がかかってしまいます。
注意点2.書類のオンライン申請に関して

会社設立の際には、
法務局に、設立の為の申請
を行い、申請後は、
県や市町村などの各行政機関にも、必要書類を提出する
という流れになります。
その際、
・弥生のかんたん会社設立、freeeの会社設立は、「オンライン申請」ができる
・マネーフォワードの会社設立は、作成された書類をユーザーが各行政窓口に提出する
というサービスになっています。
ただ、「オンライン申請」については、注意点があります。
それは、
オンラインで法人登記申請を行う際
は、
マイナポータル(法人設立ワンストップサービス)との連携
となる為、下記の準備が必要となります。
・マイナンバーカード
・ICカードリーダー/ライター
・マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン等
・申請に必要なソフトやアプリのインストール
・公証人とのビデオ面談の為のWebカメラ、マイク
等。
正直、ちょっと面倒です。
であれば、書類をプリントアウトして、各窓口に持参したほうが良いように思います。
すでにこういったツールがあれば、オンライン申請も判断基準のひとつになりますので、状況に応じて検討しましょう。
もちろん、弥生のかんたん会社やfreeeの会社設立サービスも場合でも、書類をプリントアウトして、実際に行政の窓口に申請する方法でもOKです。
【参考】
> FAQ;弥生のかんたん会社設立 「登記手続きのオンライン申請で必要なものはなんですか。」
注意点3.公告をどうするか?

会社設立時には、
公告
についてどうするかも決めます。
公告とは、
法令で定められている、決算書類の公開掲載
のことです。
(実際は、全ての会社が公告を行っているわけではありません。上場企業を除けば、公告を行っている会社のほうが少ないというのが実情です。)
株式会社の場合、会社法第440条で、
定時株主総会の承認後に遅滞なく貸借対照表又はその要旨を公開しなければならない
ということが義務付けられているものの、実際に、決算を開示している会社は、
全株式会社のわずか1.5%ほど
になっています。
2021年に官報に決算公告した株式会社は4万154社で、全株式会社のわずか1.5%東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220309_01.html
ただ、クラウドの会社設立書類のサービスを利用する際には、この
公告をどうするか
を決める必要があります、
一般的に、公告の方法としては下記になります。
・官報
・電子公告(年間費用として、4,000円前後~)
・自社のHP
「弥生のかんたん会社設立」の場合の公告は?
「弥生のかんたん会社設立」の場合は、
公告は、官報のみ
の設定となっています。
ただ、上記にも記載したように、
定款で官報と記載しても、実際に公告をおこなっている会社は、実際のところ、上場企業を除き、ごく少数
になります。
「弥生のかんたん会社設立」のHPには、下記記載があります。
「弥生のかんたん会社設立」のHPのFAQ。
Q:電子公告に対応していますか?
A:公告方法は官報のみの対応となります。
ですので、定款で公告と記載した後の対応は、企業ごとの判断になります。
マネーフォワード会社設立、freee会社設立の場合の公告は?
マネーフォワード会社設立や、freee会社設立は、
・電子公告
・自社のホームページ
のいずれかを選択できます。
電子公告の場合は、年間費用として、4,000円前後~となります。
また、事前に会社のホームページを用意しておけば、それれ対応できますので、公告についての費用を軽減することができます。
【参考】自社のホームページを用意する場合について
事前に自社のHPを準備して、公告の対応をする場合、少なくとも、電子公告の費用を軽減することができます。(マネーフォワード、freeの会社設立の場合)
ですので、
簡単なものでも良いので、会社のホームページを準備
したほうが良いと言えます。
取り急ぎ、
簡単なホームページを作成
するのであれば、「ペライチ」というサービスを利用する方法もあります(国産のサービスです)。
「ペライチ」は、1ページだけなら「無料」です。
1ページ内に、会社の内容をまとめて記載することで、取り急ぎ、対外的なホームページの対応ができます。
また、ページの作成も、比較的、簡易な手順でつくることができます。
まずは、下記のリンク先で、無料の会員登録することでサービスが利用できますので、作成画面などを確認されてご自身で対応できそうかチェックされてみても良いでしょう。

会社の法人印

「マネーフォワードのクラウド会社設立」には、
法人設立に必要な印鑑セット
をお安くに購入できるサービスがあります。
印鑑の価格は、下記になります。
種類 | 価格 | 内容物 |
---|---|---|
柘(ツゲ) | 8,440円(税・送料込) | 実印・銀行印・角印・印鑑ケース |
黒水牛 | 10,420円(税・送料込) | 実印・銀行印・角印・印鑑ケース |
チタン | 33,320円(税・送料込) | 実印・銀行印・角印・印鑑ケース |
結構、良心的な価格設定です。
> 印鑑の購入(マネーフォワード クラウド会社設立使い方ガイド)

会社の設立申請時には、法人印も用意しておく必要がありますので、こういったサービスもありがたいです。
【参考】会社設立の実費費用

クラウド会計系の「会社設立書類作成サービス」は、無料で利用できますので、非常に便利です。
ただ、これらのサービスは、
書類作成費用は無料
になっていますが、
法務局への申請や、定款認証に関わる実費費用は、別途発生
します。
ですので、クラウドの会社設立サービスは、会社設立にかかる費用すべてが無料ということではありません。
ちなみに、株式会社設立の際の実費は、下記内容となっています。
■公証役場
定款認証手数料 5万円(資本金によって、金額が異なります)
定款印紙代 4万円
定款謄本代 約2,000円
■法務局
登録免許税 15万円
登記事項証明書代 1通600円
印鑑証明代 1通450円
会社設立時の費用の詳細については、下記ページに記載しています。
さいごに

また、上記に記載したように、クラウド系会計各社の「会社設立書類作成サービス」によって、
電子定款
や
公告
に関する扱いが異なってきます。
また、オンライン申請は、実際のところ、手間やコストを考えると、あまりおすすめはできません。
どの会社設立サービスを利用するかは、それらの対応も含めて、どの会社のサービスが良いのかを決めましょう。
いずれにしても、
法人印がお得意な価格で購入できる「マネーフォワードの会社設立」
や、
電子定款費用も含めて無料になっている「弥生のかんたん会社設立」
はお勧めです。
※補足事項;その他の「会社設立の無料サービス」の注意点!
参考までに、下記に、
「会社設立の無料サービス」の注意点!
について説明しています。
「会社設立の無料サービス」の注意点!
会計クラウド系以外にも、
無料で会社設立書類を作成するサービス
もありますが、そういったサービスにも、条件面の注意点があります。
例えば、
税理士事務所で、税務の顧問契約を条件にしているケース
や、
オフィス機器の販売会社などで、コピー機の契約を条件にしているケース
などがあります。
要するに、申し込み時に「縛り」を設けているような場合が多いわけです。
その場合、会社設立の費用は無料でも、通常は、
条件(年間契約やリース費用など)
が設定されていますので、トータルのコストが高くついてしまいますので、注意が必要です。
以上、マネーフォワード、弥生、freee「会社設立書類作成サービス」選び、3つの注意点についての説明でした。
